ライ麦畑で叫ばせて

日常/数理/旅や触れた作品の留書/思考の道草 などについて書いています。

2023-01-01から1年間の記事一覧

2023年の反省

年始に立てた目標(2023年の目標)に基づき、今年の反省をする。 【生活に関して】 1. 首〜肩〜背中〜腰の痛み軽減 → △ 鍼灸・接骨院への通院は、医院への道が片道20分という地味な遠さも災いして、出張が重なった十月頃から止まっている。その代わり、スト…

責任者出てこい

論文掲載にいたるまでに、査読というプロセスがある。投稿された論文が、雑誌掲載に相応しいか否かを判断する作業である。自分が論文を投稿する際には避けては通れない過酷な道であるし、反対に、自分自身が他の研究者の論文を査読する(=障壁となる)こと…

As you like

音楽は好きなのだが、特段詳しいわけではなく、私にいろいろな音楽を教えてくれた友人を前にして語るのもおこがましいと、あまりこのブログでは記事にしてこなかった。振り返ってみると、2017年に思い出と音楽との繋がりについて記述し(追想と捏造の狂想曲…

感想48『木の一族』・『預言者の名前』

77. 佐伯一麦『木の一族』(新潮文庫) 再読したい度:☆☆☆★★ 前回紹介『ア・ルース・ボーイ』に続けて読んだ。続編とは銘打っていないが、主人公の男の性格、周りの人間や環境、回想、どれをとっても「続編」以外の何物でもなく、著者が「私小説」の書き手で…

知らぬが仏

『老婆心』に『知らぬが仏』と、どうも説教臭い話題が続くが、鬱陶しがらずにお付き合いいただきたい。あと、ここでの「知らぬが仏」は原意とは少し異なることを断っておく。 階段を駆け降りるという行為は、私の生活圏ではほとんど毎日の動作といっていい。…

老婆のこころ

ろうば-しん【老婆心】 年とった女の親切心がすぎて不必要なまでに世話を焼くこと。必要以上な親切心。主として自分の忠告などをへりくだっていう語。「―ながら申し上げる」 ──広辞苑より 「よかれと思って」と考えることが多々ある。友人の言うところの(彼…

日本酒7『一味の真』・『ねぶた』・『寸鉄』・『越乃雪椿』

14 真稜 一味の真 特別本醸造 評価:おいしい(B) 日本酒度:+4~+5 酸度:1.2~1.3 新潟は田才酒造の一本。淡麗・辛口。すっきりとしていて、水のようにごくごくいけた。「水のよう」という形容は個人的には褒め言葉なのだが、「口当たりの良い」などと上品…

感想47『ア・ルース・ボーイ』・『MISSING』

75. 佐伯一麦『ア・ルース・ボーイ』(新潮文庫) 再読したい度:☆☆☆★★ 何気なく図書館で手に取った一冊。著者は仙台出身で、かつ本作の舞台も仙台だったこともあり、妙な親近感を覚えて読んだ。第4回三島由紀夫賞受賞作。 進学校を中退し、子連れの同級生…

シアトル貧乏旅行

出張の嵐も大詰めだ。今回は、アメリカはワシントン州シアトルに行った。 シアトル・タコマ国際空港に到着後、ライトレールに乗って学会会場周辺へ。電車やバスでの移動にはORCA(オルカ:シアトルのシンボル的存在であるシャチのこと)カードを購入すると便…

京都さんぽ

出張が多いので旅行記の類が必然的に多くなる。今回は、京都に行った話をしようと思う。 京都はやはり雰囲気がある。碁盤目状に整った道に、平然と姿をあらわす寺社仏閣。あえて街灯の照明を抑えているのか、夜道は薄暗く、武士たちの謀反や襲撃が起こりそう…

日本酒6『福司 大吟醸・海底力・霧笛』

今回は、先日の釧路出張でいただいた日本酒を紹介する。大正8年創業、釧路の地酒 福司酒造の福司(ふくつかさ)シリーズが飲み比べできた。 写真を先に載せておこう。 11 福司(ふくつかさ)大吟醸 評価:おいしい(B) 日本酒度:+2 酸度:1.3 値段は3つの…

色づいた釧路

先日、北海道東部のまち、釧路に出張した。気温は20度前後。日中は半袖で涼しいくらい、夜になるとカーディガンを羽織っていないと少々肌寒いときた。天国かと思った。 実は、釧路の地に降り立ったのは、これが初めてではない。10年前、まだ私が学生だった頃…

感想46『アルバイト探偵 調毒師を捜せ』・『わたしの好きな季語』

73. 大沢在昌『アルバイト探偵 調毒師を捜せ』(講談社文庫) 再読したい度:☆☆☆☆★ 昔にシリーズ1作目を読んでおもしろかったので買った続編の短編集だ。そのまま長いこと放置してしまっていたせいで、序盤は登場人物を忘れかけていたが、前作を読み直す必要…

洋上の戯言

朝焼けの雲が黒いのは、夜の闇を吸い取ったからだと思う。 雷雲が黒いのも、何かの闇を吸ったからで、それは少しの光も残さぬよう、稲光を激しく放出しながら去ってゆく。 闇はあっさりと上空を流れゆき、快晴。 トビウオ。彼らの飛行距離の長さには驚かされ…

感想45『風の中のマリア』・『飽きる力』

71. 百田尚樹『風の中のマリア』(講談社文庫) 再読したい度:☆☆☆★★ オオスズメバチの働き蜂が主人公の、異色の物語。今回は珍しく、蜂の世界の話であるという前提条件は知った上で購入した。オオスズメバチに関する知識不足も手伝って、初めは世界観に入り…

うるおいが足りない

我らが伊集院光先生も深夜ラジオの冒頭で再三話題にしているが、最近、ちょっと暑すぎはしないか。正直、いままでに経験したことのない、危機感を覚えるほどの暑さである。学生時代は運動部で、真夏でもわりと真面目に体を動かしていたが、あの頃の暑さには…

傘もささずに僕達は

ある雨の日、鍼灸院にて腰痛の治療を受けた帰りに、自分の傘がないことに気がついた。入口の傘立てに置いてあったのが姿を消していた。どうやら、誰かが取り違えたらしい。 何の変哲もないビニール傘だったのだが、使っていれば多少なりとも愛着が湧くもので…

風は軟風

子どもの体重が10 kgを超えて久しい。抱っこをする自分自身への負担が、文字通り痛いほど感じられ、体力がないのはいけないと、最近は以前にも増して筋トレやランニングを意識してするようになった。 筋トレはNintendo Switch『リングフィットアドベンチャー…

感想44『大河の一滴』

70. 五木寛之『大河の一滴』(幻冬社文庫) 再読したい度:☆☆☆☆☆ 友人に読むべしと勧められ、同時に感想を書くのは難しいだろうと挑発された一冊。確かに、本筋から派生して話題は多岐にわたるのでまとめるのは容易ではなかったが、読了後の臨場感をそのまま…

ハードルが低い

最近、首肩腰の張りや痛みがひどくて鍼灸治療を受けていることは前にも記した(2023年の目標)。しかし、それだけではままならないので、運動後や就寝前はなるべく時間をつくってストレッチをするようにしている。 私の中のストレッチや準備体操の基本は小学…

感想43『サラバ!(上)』・『海のトリビア』

68. 西加奈子『サラバ!(上)』(小学館文庫) 再読したい度:☆☆☆★★ 上中下の三巻からなる長編のうち、まずは上巻だけを読んで感想を書いている。上下巻で完結と勘違いして、既に下巻だけ買ってしまった。中巻はまだ入手していないこともあり、読破までは少…

樽と壺は壊せ

バイオハザードのやりすぎか、ハーブティーを飲むと少し体力が回復する気がする。赤色のハーブが混ぜられるとなお良さそうだ。一方、三国無双の肉まんは何か違う。どちらかというと、食べるほど攻撃をくらう気がする。 ゴールデンウィークの頭に子供が熱を出…

感想42『夏の朝の成層圏』

67. 池澤夏樹『夏の朝の成層圏』(中公文庫) 再読したい度:☆☆☆☆★ 漁船から転落し無人島に漂着した男の生活と思想の変化を緻密に描いた作品。正直、10年くらい前の私だったら、序盤で読むのを諦めていたかもしれない。だが、だからこそ、本というものに慣れ…

行く道、帰る道

弊所の最寄駅でも、最近はリクルートスーツを纏った新卒採用者らしい若者が目立つ。背筋を伸ばし、我々の眼前には希望しかありませんといわんばかりの凜とした態度で、車内や改札前でたむろして、彼らは高尚な雑談をしている。あとは、改札を出たところでき…

感想41『木洩れ日に泳ぐ魚』・『空気の発見』

65. 恩田陸『木洩れ日に泳ぐ魚』(文春文庫) 再読したい度:☆☆☆★★ 引越しの荷出しを終えて、がらんとした賃貸アパートの一室で、テーブルがわりのキャリーケースを挟んで向かい合う男女。酒を舐めながも、二人には思うところがあるようで、どうやら喜ばしい…

教師よ、後ろ向きであれ

友人と本屋に立ち寄った折、「人間は自己肯定感が10割」と書かれた帯を見つけて笑った。肯定感の「こ」の字も知らない我々は、「人でなし」の烙印を押されたことになる。この先は、畜生という自覚をもってひっそりと生きてゆこうと思った。 さて、それぞれの…

感想40『斜陽』

64. 太宰治『斜陽』(新潮文庫) 再読したい度:☆☆☆☆☆ 一言、圧巻である。本作は、貴族に生まれた女とその家族の破滅を描く物語だ。斜陽、すなわち沈みゆく太陽。まさに表題の通りである。夕暮れ前、物語の始まりはあまりにのどかで、明るく、上品だ。その印…

文芸ミュージカル「三毛子」へ参戦

どうも、廃人あらため俳人の者です。 一昨年にお〜いお茶新俳句大賞で佳作特別賞をいただいて以来、どうも賞をもらう機会から遠ざかっているなと不思議に思っていたが、それもそのはず、そもそもお〜いお茶新俳句大賞以外に応募していなかった。 今年はいろ…

感想39『雑談力』

63. 百田尚樹『雑談力』(PHP文庫) 再読したい度:☆☆★★★ 「コロナ以降、学生の雑談力が低下している」という話を大学時代の恩師から聞いて、雑談については自分でも考えたいと思っていた。そんな折、図書館で本書を見つけ、手に取った。 まず、雑談とは何か…

神ゲームことバイオハザードシリーズの感想列挙

最近、無二の友と会えていなくてお互いに「寂しい」と連絡を取り合っているのだが(恋人かよ)、今度彼と会ったときにやりたいことの上位候補はなんといってもバイオハザードだ。言わずと知れた神ゲーム。今まで彼とのバイオハザードにどれくらいの時間を費…