ライ麦畑で叫ばせて

日常/数理/旅や触れた作品の留書/思考の道草 などについて書いています。

2019-01-01から1年間の記事一覧

感想5『木曜組曲』・『プラナリア』

さあパート5だ! こんにゃろ! 今回は前置きを抜きにしていくぞ! こんちきしょう! * ネタバレにご注意ください! 12. 恩田陸『木曜組曲』(徳間文庫) 再読したい度:☆☆☆★★ これぞ静かで奇妙な恩田陸ワールド。五冊に一冊は彼女の作品を読まずにはいら…

感想4『猛スピードで母は』・『魚籃観音記』

一言読書感想集も第四弾となった。「一記事につき三〜五冊ずつ紹介できればいいかな」という考えで始めたが、分量的に「一記事二冊」が妥当かもしれない。一冊一冊の感想が充実してきたためだ。 一言というわりに長すぎるのでは? と思い、その適切な分量を…

純粋か素直か(温暖化問題に触れて)

高校一年生のときの担任がなかなか面白い人だった。彼は頭のキレる数学教師で、授業の進行は目まぐるしく、宿題は多く、板書は汚く、声は大きくと、当時はあまりいい印象がなかった。だが、振り返ってみれば、彼には形容しがたい魅力があった。 今になっても…

修羅の道・北海 ──蒼天童の章──

札幌に降り立って(修羅の道・北海 ──漆黒烏の章──)2日目、漆黒の烏の猛攻から逃れてたどり着いたのは、蒼天にそびえ立つ鋭利な塔だった。それは「さっぽろテレビ塔」という建造物らしかった。塔の周りには花壇が並んでおり、塔は美しい花々に装飾されて堂…

感想3『変身』・『おさがしの本は』

パート1(ひとこと感想集 )、パート2(ひとこと感想集 part 2 )と続けてきた「一言読書感想集」だが、パート1を書いていて気づいたのは「感想が『あとがき』に引っ張られる」ということである。あとがきについて共感あるいは批評的な感想をもち、それに…

感想2『ラムネ』・『ドミノ』・『レプリカたちの夜』

感想を残すことにしてから、「早く感想を書きたい!」という本末転倒な欲求により読書がよく進んでいる。あと、「感想を残さなければ!」という勝手な使命感により内容がよく頭に入ってくる。 一方、「この本も感想集に入れたいなー」という面倒なこだわりか…

修羅の道・北海 ──漆黒烏の章──

私は札幌に降り立った。 札幌に着いたらまず、頭上に注意しなければならない。それも、とりわけ木の上だ。宿敵はそこにひそんでいる。「まさか自分は大丈夫だろう」などというご都合主義的確率論にすがることはできない。油断すれば襲われる。それが修羅の道…

「そりゃそうじゃ」がもたらす思考の欠落について

皆さんはオーキド博士をご存知だろうか。 オーキド博士とは初代ポケットモンスターに登場し、主人公の暮らすまちで日々ポケモンの研究に励んでいる人物だ。主人公に最初のポケモンをくれるのが、何を隠そうこの男である。一見、ただのポケモン博士のように思…

誇りを模索する生き方

他人に誇れるものがない。「誇る」というと大袈裟だが、「〇〇ならその辺の奴に簡単には負けやしない」という得意や自慢が一切なにもない。 何もできないわけではない。自分で言うのもなんだが、一般教養は人並みに身につけていると思うし、これまでの人生に…

感想1『五分後の世界』・『私の家では何も起こらない』・『斜陽・パンドラの匣』・『虹彩・太陽をうつすもの』

これまで何冊の本を読んできたか知れない。これは数え切れないほど多くを読んできたと自慢しているのではなくて、ただ単に数えていなかったというだけのことである。 現在の自宅の本棚には百冊程度の文庫本が並んでいて、ときどきそれらの背表紙を眺めながら…

間違いだらけの数式

「朝ドラ」というものをこれまで熱心にみたことはないのだが、最近その音声をよく聞き流している。そうはいっても、ラクに英語を身につけるがごとく「朝ドラを聴き取る耳」の獲得を目指しているわけではない。私のデスクが昼休みに朝ドラをみたい人が集まる…

あゝ日本海

そのまちには確かに初めて訪れたのに、何処か懐かしい感じがした。 出張で訪れたのは鳥取県境港市。以前話題になった「米子鬼太郎空港」に降り立つと、地元の職員の方が出迎えてくれた。行先までは少し距離があるということで、車で迎えにきてくださったのだ…

お道化一家

二〇十九年に入ってもう三か月が経とうとしているが、ここらでひとつ今年の正月を振り返ってみたいと思う。年末年始、私は実家に帰省していた。以上。 と、まあこれは冗談だが、三か月も過ぎてしまうと記憶がもう曖昧だ。ひとまず思い出せることをいくつか列…

オレサマと豆の木

先日、友人と炉端焼きの店に行った。先の店でたらふく飲み食いした挙句、一度は改札の前まで行ったのに「やっぱもう一軒行くか」といってふらりと立ち寄ったのが、その店であった。 当然お腹は空いていなかったのだが、せっかくの炉端焼きだし何か一つは焼き…

朝朝思う、夜夜思う

記事の下書き数が二十件を超えた。一意専心、物事は一つずつ片付けていく方だと自負していたが、実はそうでもなかったらしい。最近はそうではなくなった、といったほうが正しいだろうか。 昔は運動であれ勉学であれ、一つのことに集中することが好きであり、…