ライ麦畑で叫ばせて

日常/数理/旅や触れた作品の留書/思考の道草 などについて書いています。

回想

走り歩き自伝

ランニングの距離と時間を記録するために使っているアプリがある(RunGraph)。先日、ふと気になってこれまでの記録をざっと振り返ってみた。記録を始めたのは2017年2月。私が博士課程で大学にいたときだった。つまり、約7年間の記録ということになる。そこ…

As you like

音楽は好きなのだが、特段詳しいわけではなく、私にいろいろな音楽を教えてくれた友人を前にして語るのもおこがましいと、あまりこのブログでは記事にしてこなかった。振り返ってみると、2017年に思い出と音楽との繋がりについて記述し(追想と捏造の狂想曲…

色づいた釧路

先日、北海道東部のまち、釧路に出張した。気温は20度前後。日中は半袖で涼しいくらい、夜になるとカーディガンを羽織っていないと少々肌寒いときた。天国かと思った。 実は、釧路の地に降り立ったのは、これが初めてではない。10年前、まだ私が学生だった頃…

ハードルが低い

最近、首肩腰の張りや痛みがひどくて鍼灸治療を受けていることは前にも記した(2023年の目標)。しかし、それだけではままならないので、運動後や就寝前はなるべく時間をつくってストレッチをするようにしている。 私の中のストレッチや準備体操の基本は小学…

神ゲームことバイオハザードシリーズの感想列挙

最近、無二の友と会えていなくてお互いに「寂しい」と連絡を取り合っているのだが(恋人かよ)、今度彼と会ったときにやりたいことの上位候補はなんといってもバイオハザードだ。言わずと知れた神ゲーム。今まで彼とのバイオハザードにどれくらいの時間を費…

押し入れのヘビイチゴ

祖母の家は真赤な実に囲まれていた。 祖母はそれをヘビイチゴと呼んでいた。幼い頃はなんとも思わなかったが、今思えばなんとも毒々しい名である。 わずか1センチほどのその実を、祖母は丁寧に摘み取っていた。何とは無しに、私もよくそれを手伝った。 採っ…

ソリの記憶、タライの笑い

昔、おそらく幼稚園にも通う前の話だ。冬、雪国が故郷の私は、友達と駐車場で雪遊びをしていた。 当時はアパート暮らしで、私は一階、その友達は二階に住んでいた。アパートは、駐車場から階段を五、六段ほど上がって一階の居室が並ぶ廊下にたどり着くような…

気づけば元気

仕事で疲弊しきった友人と落ち合って、近所のスーパーに立ち寄ったときだ。 いつものように酒を選び、つまみのコーナーに向かった。 「最近、ナッツとドライフルーツにはまってるんだよ」 「俺も」「いや俺のほうが」「うまいよな」「うむ。それだけあればい…

座右の銘候補を考える

年始に「座右の銘を考える」というのを目標として掲げた(2022年の目標 )。これから数十年、ひいては人生(そういうと仰々しいが)をかけて達成すべき目標をもっていても良いと考えたのだ。思い立ったのは、とある組織の新任職員の紹介ページを眺めていたと…

肝油ドロップの匂い

コンディショナーを替えて数日、ずっと何かの匂いに似ているなと思っていたが、ようやくひらめいたものがあった。肝油ドロップの匂いだ。 乳白色の潰れた楕円体、さながら小さな碁石のようなそれは、表面には白い粉末か顆粒が付着していて、噛むとジャリっと…

私だけの音楽

中・高生の頃に熱心に聴いていたアーティストがある。GARNET CROWという男女4人組のバンドだ。自室にいてぼんやりしているときは大体聴いていた。音があると集中できないたちなので、本や漫画を読んだり勉強したりするときは止めたが、それ以外はずっと、睡…

三島くん

学生時代に帰省した折、両親や弟たちは出払って、特段することがなくなったので、居間で本を読んでいた。 しばらくすると祖母が「お茶でも飲むか」と声をかけてきた。首肯してありがたくいただくことにする。 祖母は茶をすする私をみて、満足げな笑みを浮か…

さよならは難しい

私は物持ちがいい。エコだとかSDGsだとか流行りのものではなく、私に備わる根深い性質で、周囲に怖がられるくらいに、気づけばずっと同じものを使っている。 例えば、小物を入れて持ち歩いている巾着袋。これは私が幼稚園に通っていたとき、弁当入れに使って…

父の背中

数ヶ月前、父が退職した。定年を過ぎてから数年間も、同じ会社で勤め上げての退職だった。 少し前には「所長(当然父より年下)が部下や取引先との関係を疎かにしている。俺の言うことに耳を傾けようとしない」と、一方向から聞いただけでは状況を把握しかね…

感想14(番外編)『そのケータイはXXで』

27. 上甲宣之『そのケータイはXX(エクスクロス)で』(宝島社文庫) 再読したい度:----- 高校生の頃に読んだ一冊だ。ここにとりあげるときは、既読の本であっても改めて読むようにしているが、今回はあえて再読していない。なぜなら、この本には、物語の…

ゴルフはできないが、練習場は嫌いじゃない

ゴルフをほとんどやったことがない。コースに出たことはもちろんないし、ボールをまともに前に飛ばせるかも怪しい。だが、妻と友人と正月のテレビ特番を眺めていて、ふと、ゴルフには何故かあたたかい印象があることに気がついた。 ゴルフは大人のスポーツと…

お楽しみは最後まで

最近になってようやく、『楽しみ』という感情が人並みに芽生え始めた。この夕食は唐揚げで締めようとか、次はあの曲を熱唱しようとか、 少し先の未来に対する高揚感は無いわけではなかった。そういったものを「短期的楽しみ」と呼ぶのなら、これまでの私には…

feel my soul

泣きつかれてたんだ 問いかける場所もなく 迷いながら つまずいても 立ち止まれない 風呂場で何気なく口ずさんでいたのはYUIの楽曲『feel my soul』だった。 風呂場と便所というのは私にとって世間から切り離される特別な空間で、沈んでいるときは「はぁ、死…

麺をすするとき、幸福と不幸がいつも背中合わせでいる

1999年12月31日、私は自宅で一家団欒を楽しんでいた。 片付けないままのクリスマスツリーの電飾を灯し、『ゆく年くる年』で除夜の鐘を聞く。そんな不釣り合いなどお構いなしに、小学生の私と幼稚園児の弟たちはこれまでとは少し違った年越しに心躍らせていた…

好きと言っていい

友人の文章(それでも好きだと言えるのか )を読んだ。良い文章には考えさせられるものだと常日頃思っているが、今回もその例外ではなかった。 読んでもらえるとわかるが、彼の文章は大きく三段構成となっている。まずは『好きの公言』について。これを「好…

謎が嫌いなんだ

昔からテーブルが汚れるのが嫌だった。家族で食卓を囲んでいるとき、食べ物をこぼしたままにしておくことが許せなかった。汁が一滴垂れただけで、半狂乱になって拭いていた。 別に潔癖というわけではない。むしろ、どちらかというとズボラなほうだろう。一人…

祖母への恋文

祖母が旅立ち、まもなく四十九日となる。実家から無事に納骨したとの連絡があった。 葬儀で祖母に送った別れの言葉。公にするか否か迷ったが、私の言葉をきいて「自分の家族のことも思い浮かんだ」と言ってくれた人がいたので、そうして家族を思う人が一人で…

純粋か素直か(温暖化問題に触れて)

高校一年生のときの担任がなかなか面白い人だった。彼は頭のキレる数学教師で、授業の進行は目まぐるしく、宿題は多く、板書は汚く、声は大きくと、当時はあまりいい印象がなかった。だが、振り返ってみれば、彼には形容しがたい魅力があった。 今になっても…

誇りを模索する生き方

他人に誇れるものがない。「誇る」というと大袈裟だが、「〇〇ならその辺の奴に簡単には負けやしない」という得意や自慢が一切なにもない。 何もできないわけではない。自分で言うのもなんだが、一般教養は人並みに身につけていると思うし、これまでの人生に…

間違いだらけの数式

「朝ドラ」というものをこれまで熱心にみたことはないのだが、最近その音声をよく聞き流している。そうはいっても、ラクに英語を身につけるがごとく「朝ドラを聴き取る耳」の獲得を目指しているわけではない。私のデスクが昼休みに朝ドラをみたい人が集まる…

お道化一家

二〇十九年に入ってもう三か月が経とうとしているが、ここらでひとつ今年の正月を振り返ってみたいと思う。年末年始、私は実家に帰省していた。以上。 と、まあこれは冗談だが、三か月も過ぎてしまうと記憶がもう曖昧だ。ひとまず思い出せることをいくつか列…

暗雲と地雷

世の中に無駄なことなんてないんだよ、などという話になったとき、私は中学時代の一場面を思い出した。 私の中学校では定期試験の三週間ほど前になると、A3用紙の簡素な表が全員に配られた。国数英理社が横軸、日付が縦軸に並んだその表に、試験勉強の予定を…

追憶の大勝負

"What's your favorite ○○? " この英文、中学校を卒業した方なら必ず一度は耳にしているはずだ。 「あなたのお気に入りの○○はなんですか?」 ○○には food とか sport とかを入れてきたのではないだろうか。 そして "OK, let's stand up!" と起立を強制されて…

さらば愛しきまち

もう一年と八ヶ月前のことになる。とある都市の中心部から少し離れたあるまちのあるアパートで、私は家族でない人間とのはじめての同居生活を開始した。全く喧嘩することなく、とは当然いかなかった。それでも同居人は、身勝手で怠け者の私にも愛想を尽かす…

黄昏の谷の底

何故、勉強しなければいけないのか。 我々は決められた年齢で決められた期間、決められた知識を習い、学ばなければならない。その中には、先の人生で使うとは思えないような知識や考え方も数多くあるといえる。 そこで、一度は疑問を抱いたことがあるに違い…