ライ麦畑で叫ばせて

日常/数理/旅や触れた作品の留書/思考の道草 などについて書いています。

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

押し入れのヘビイチゴ

祖母の家は真赤な実に囲まれていた。 祖母はそれをヘビイチゴと呼んでいた。幼い頃はなんとも思わなかったが、今思えばなんとも毒々しい名である。 わずか1センチほどのその実を、祖母は丁寧に摘み取っていた。何とは無しに、私もよくそれを手伝った。 採っ…

感想33『文字禍・牛人』

53. 中島敦『文字禍・牛人』(角川文庫) 再読したい度:☆☆★★★ 図書館シリーズ。短編六編が収録された一冊だ。著者の代表作といえば『山月記』だろう。山月記が虎への変身なら、収録の『狐憑』は憑依、『木乃伊』は輪廻、『文字禍』は精霊、『牛人』は化物の…