ライ麦畑で叫ばせて

日常/数理/旅や触れた作品の留書/思考の道草 などについて書いています。

2018-01-01から1年間の記事一覧

心の何処かでカニが食いたい

みなさんは「マインドマップ」というものをご存知だろうか? 「マインドマップ」とはイギリスの著述家トニー・ブザン氏が提唱した、自らの考えを絵で整理する表現手法である。この手法は、脳の思考を効率よく開放し、記憶力や創造性、相互理解を非常に高める…

模倣と創造

かの有名な物理学者アイザック・ニュートンは、運動の三法則に基づいて古典力学の基礎を確立したことで知られる。彼が提唱した三法則のうち、第二法則は「運動の法則」と呼ばれる。「運動方程式」といわれると、ああ、あれか、と思われる方も多いだろう。法…

我が手に使用許可を

七月某日、名古屋観光に行ってきた。 仕事終わりに新幹線にとび乗って、宿に着いたのは二十一時半頃であった。 荷物をおくが早いか、我々は手羽先を喰らいにいくことにした。私も同行人も空腹と暑さのため、道中はいささか殺気立っていた。 たどり着いた店で…

暗雲と地雷

世の中に無駄なことなんてないんだよ、などという話になったとき、私は中学時代の一場面を思い出した。 私の中学校では定期試験の三週間ほど前になると、A3用紙の簡素な表が全員に配られた。国数英理社が横軸、日付が縦軸に並んだその表に、試験勉強の予定を…

透明な空

*当記事はこちらの話( おだやかな青 - ライ麦畑で叫ばせて)に目を通してから読んでいただけるとわかりやすいと思います。 「真っ直ぐな目で笑った 最初の出会いから君は変わらないね 透明な空によく似合う肌が まるで新しい明日へと誘うよう (GARNET CRO…

成金のゆび、貧乏人のゆび

みなさんご存知のように、海水は水と塩により構成されている。そして、海水の特性を決める最も重要な量に、水温と塩分がある。ここで、塩分とは水に含まれる塩の割合、すなわち塩濃度を意味する。「分」が「濃度」の意味をもつので、本来、「塩分濃度」とい…

おだやかな青

一日に何度、青信号の点滅をみるだろう。 彼奴はあと少し、というところでチカチカとして、途端に切迫感を漂わせる。横断しようとすると決まって点滅し出すんだ、などと悲観的になってみるが、そう感じるのはある意味当然で、青のままの信号を意識しそれに感…

新説 風が吹くと

風が吹く 風が吹くと木の葉が散る 木の葉が散ると落ち葉が増える 落ち葉が増えると可燃ゴミが増える 可燃ゴミが増えるとゴミ収集に時間がかかる ゴミ収集に時間がかかるとゴミ収集車の来るのが遅れる ゴミ収集車の来るのが遅れると朝のゴミ出しに余裕ができ…

矛盾を唄って越えろ

この世界には種々多様な歌がある。 ハッピーな歌や暗い歌、荒々しい歌の話は以前した(幸福な言の葉 - ライ麦畑で叫ばせて)。今回は、聴いていると何故か耳に残る、私にとってはそんなカテゴリにある歌たちを取り上げてみたい。 「マイナス100度の太陽みた…

追憶の大勝負

"What's your favorite ○○? " この英文、中学校を卒業した方なら必ず一度は耳にしているはずだ。 「あなたのお気に入りの○○はなんですか?」 ○○には food とか sport とかを入れてきたのではないだろうか。 そして "OK, let's stand up!" と起立を強制されて…

自覚の恩恵

出しなに掛ける言葉の典型に「気をつけていってらっしゃい」というのがある。一見定型文のように思われるこの言葉だが、実はこれには確かに効果があると耳にしたことがある。実際に注意力が増し、道中での危険回避率が上がるというのだ。 潜在意識に対して威…

渇き

「…生きることが難しいなどということは何も自慢になどなりはしないのだ。わたしたちが生の内にあらゆる困難を見出す能力は、ある意味ではわたしたちの生を人並みに容易にするために役立っている能力なのだ。なぜといって、この能力がなかったら、わたしたち…

春よ何処に

新天地はここ一週間、まだ四月が始まったばかりだというのにすっかり初夏の陽気だ。 職場と自宅を繋ぐ五十分、その半分は徒歩の道である。商店街をまっすぐ行って、角を曲がり住宅街に入る頃にはもう額に汗がにじむ。上着を脱いで鞄にしまう。緩慢な足取りの…

知らないバンド学入門

先日、ある有名三バンドの夢の競演たるコンサートに行った。 この三バンドのうち二バンドは大変好きで、曲はよく拝聴するしパフォーマンスもライブや映像でよく拝見している。 その一方で、残りの一バンドについては情報も熱意も全くない状態のまま会場入り…

さらば愛しきまち

もう一年と八ヶ月前のことになる。とある都市の中心部から少し離れたあるまちのあるアパートで、私は家族でない人間とのはじめての同居生活を開始した。全く喧嘩することなく、とは当然いかなかった。それでも同居人は、身勝手で怠け者の私にも愛想を尽かす…

「伝える」の上限

もうすぐ私は、長い間お世話になった多くの人たちに別れを告げることになる。新天地へと向かうにあたり、書類や荷物の整理をしながらこれまでを振り返る今日この頃である。 旅立ちに際しては、いくつかの場所でどうしても挨拶をしなければならない。どうせな…

変わりゆくときの中で

東に向かって時速60 kmではしる車の中からみると、道端でぼんやり突っ立っている老人は時速60 kmでこちらに近づいてくるようにみえる。そして100 m先を時速60 kmで東にむかうバイクには、車はいつまで経っても追いつくことはできない。 この相対速度的な考え…

ポートランドに魔物は散った

先日、とある任務遂行のため、私はポートランドへと飛んだ。 その任務とはぷれぜんてーしょんと呼ばれる魔物の撃破であった。えいりあんと映画で戦っていたアレである。そんなものと戦わねばならぬ私の素性? それはここで皆さんに明かすことはできない。 な…

名は体を表すか

本にしろ、漫画にしろ、映画にしろ、私はタイトルを覚えるのが好きである。 昔は某からだが縮んでしまった名探偵が活躍する映画のタイトルは公開年順に覚えていたし、某国民的海賊漫画の単行本のタイトルは今でも六十五巻くらいまでは暗唱できる。某大泥棒三…

黄昏の谷の底

何故、勉強しなければいけないのか。 我々は決められた年齢で決められた期間、決められた知識を習い、学ばなければならない。その中には、先の人生で使うとは思えないような知識や考え方も数多くあるといえる。 そこで、一度は疑問を抱いたことがあるに違い…

一山また一山

行きずりにつと手に取りし古本に心躍らすような幸せ 本業が山場を迎えつつあり、自宅に帰ったら寝るだけの生活が続く中、読書の時間がこれまでと比較して増えた。交通手段を地下鉄に替えたからだった。 地下鉄を待つ間、乗車中、乗り継ぎの間、行き帰りのそ…

君は私を盗人となじるだろうか

年末年始を故郷で過ごし、四日ぶりに自宅に戻ると冷凍庫が壊れていた。 冷凍室の床や天井、壁についた霜を取ってやって様子をみたが、どうも駄目らしかった。購入して七、八年になるようだから、そろそろ寿命なのかもしれない。 年末に家に泊まった友人が厚…