ライ麦畑で叫ばせて

日常/数理/旅や触れた作品の留書/思考の道草 などについて書いています。

うるおいが足りない

 

 我らが伊集院光先生も深夜ラジオの冒頭で再三話題にしているが、最近、ちょっと暑すぎはしないか。正直、いままでに経験したことのない、危機感を覚えるほどの暑さである。学生時代は運動部で、真夏でもわりと真面目に体を動かしていたが、あの頃の暑さには、なんと可愛げがあったことか。

 地球温暖化を背景に、地球環境が劇的に変わりつつある最中であることは言うまでもなく、異常気象・極端現象が頻発しているが、先日、我が故郷も未曾有の大雨と水害に見舞われた。水害直後に友人と故郷へ急行し、片付けを手伝うことができた。実家は床上浸水してしまったので、床を剥がして、下水由来の泥を洗い流して、乾かして、消毒して、……。現在も、絶賛床なしの状態である。もう床上浸水なんてしない。なぜなら、床がないからね! なんておどけつつ、冗談にならない有様だったが、実家の話はこれくらいにしておこう。

 しかし暑い。どれくらい暑いかといえば、アメリカはアリゾナ州でサボテンが枯れ果てるほど暑い。サボテンなんて「最も枯れてほしくない植物ランキング10年連続1位!」、「枯れない植物グランプリ金賞受賞!」なんていわれても納得の植物でしょうが。枯れてくれるなよ。あとは、特定の魚がめっきり獲れなくなったり、反対に南方魚種が東北地方で突然獲れるようになったりしている。海水温や海流の変動も著しいので、各魚種の分布が変わってしまうのも当然である。

 部活帰りの中学生が熱中症で倒れて亡くなったというニュースがなんとも痛ましく、ふと思い出しては無念に思っている。部活動の指導はどうだったのかなどという批判をみかけるが、もう少し根本から見直す必要があるように思う。みなさん指摘していることではあるが、部活動の時間をなるべく涼しい時間にずらすとか、思い切って練習や大会の時期をずらすとか、運動する場所を検討するとか。根性では、走り込みと素振りでは、どうにもならない事態になってきている。

 最近、日焼けが悪化して皮膚科を受診する患者が増えているらしい。日焼けなんてある種のやけどだ。今月中旬から野外調査に出る私も、十分注意したい。これだけの暑さに日差しであるから、生物だけでなく、無機物だって目に見えてダメージを受けている。例えば、洗濯バサミ。今夏になって、我が家の洗濯バサミがいくつ朽ち果てたことか。プラスチックだって、耐えられる暑さや紫外線には限界がある。例えば、タオル。一日外で干したバスタオルの硬さたるや、紙やすりのようである。調べると、タオルも乾燥のしすぎはよくないようだ。

 不快なほど湿度は高く、局所的に望む以上の雨が降るけれど、それらがうるおいに結びついていない。欲しいと願ううるおいは、サボテンの樹液であり、体に染み込むスポーツドリンクであり、肌の弾力であり、タオルのやさしさであり、精神生活上のゆとりと豊かさである。

 

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