突然だが、まずはタイトルを声に出して読んでみて欲しい。
Repeat after me, "路傍の攻防".
「「「路傍の攻防」」」
うん、なんか良くない? 韻踏んでない?
Yo! 路傍の攻防 そりゃ日々の風景
初動に翻弄 だって右の想定
粗相も愛嬌? No 無理な行程
無謀な猛攻 いやスルっと歩け! Yeah!
すまない。私の中のラッパーが暴れ出して抑えきれなかった。
気を取り直して本題に入りたい。
「路傍の攻防」とは、道を歩いているときのポジション取りによる戦争をさす。攻防はいくつかのパターンに分類されるが、今回はその中から主要なものを紹介していきたい。
まずは「両者がおなじポジションを巡って争う」というものだ。
向こうから人がやってくる。このままでは正面衝突してしまう。よし、左にまだスペースがあるな。そう思って左に避けると、相手も鏡合わせに同じ動きをする。
おっとっと、じゃあ右に避けるか。すると相手がまた正面へ。
縮まってくる二人の距離。右へ、左へ、右へ、あっ、ああっ、あああっ! はい、ジャンガジャンガ〜、という具合だ。
実はこれ、人間には無意識に相手の動きに合わせてしまうという習性があるためらしいのだ。「あっち向いてホイ」で反射的に相手の指差す方向を向いてしまうのと一緒である。
対策としては、フェイントをかけるのが良いらしい。空いたスペースに行くと見せかけて止まる。ちょっとだけ右へとみせかけて大きく左へ。ドリブルでディフェンスをゴボウ抜きするファンタジスタか俺は。
だが、相手もこのことを知っていると、フェイントの掛け合いになりかねないので注意が必要だ。日々フットワークを欠かさないようにしよう。
このジャンガジャンガを絶対にしたくない人だろう。近づく私から明らかに目を逸らし、「私、こっちなんで」と突っ込んでくる人もいる。相手は俯き加減で避ける気などさらさらないので私が動くしかないのだが、向こうから別の人が来ていたりすると八方塞がりだ。
「私、こっちなんで」にはもう一つパターンがあって、その人は伏し目がちに道のごく端っこに避けるのだが、私はそちら側にある扉に入りたい場合だ。「私、こっちなんで」「いや私、こっちに入りたいんで」「いや私」「いや」「いっ、ああっ!」はい、ジャンガジャンガ〜、である。
相手が「こっちなんで」で来るので、(ああ、そこに入りたいのかな。それとも、もしかして私と同じ入り口か?)などと気をつかってスピードを落とし、相手の動作を窺っていると、結局相手はただそっち端をこよなく愛するだけの人らしく「は? スピード落として何こっち見てきてんのコイツ?」とすれ違いざまに睨まれることもある。なんだかなぁ。
実は昨日、上述の「同じポジションを狙う」と「私こっちなんで」×2パターンを帰宅途中に全てくらった。
そのときは「路傍の攻防の叩き売りか!」と思わず突っ込んだ。いや、「路傍の攻防の選べるアソートセットか!」の方がよかったか。それとも王道の「路傍の攻防のバーゲンセールだな」だったろうか。
ダメだ。短時間にダメージをくらいすぎてオカシクなってしまった。
だが、こんなにオカシクなってしまった私よりずっとオカシイ攻撃をしてくる人がいたので、その戦闘スタイルを最後に紹介したい。
その名も「超ノーガード戦法」である。目を逸らす、スマホを見て前を見ない、などまだ序の口だ。
その女性は、スマホをいじり、イヤフォンで音楽を聴き、犬を連れ、自転車を引き、子供を抱いて突撃してきた。顔は猿、手足は虎、ってヌエか!
ワタシ、前もみていないし、周囲の音も聞こえない。手は塞がっていて、か弱い子たちも連れているの。でも、きっと大丈夫! だって、相手が避けてくれるから!!!
圧倒的ノーガードである。ノーガードかつノーエスケープである。彼女は、まるで赤ん坊のように行き交う人を信頼している。彼女の抱く赤ん坊よりも、彼女自身の方が純粋無垢なのではなかろうか。三井寿かっての。そりゃ3ポイントもバシバシ打てますわ。
いくら安全の国・日本といえど、いささか信頼しすぎではあるまいか? いや、日本だからこうやってブログに書かれるくらいで済んでいるのだ。もしそこが無法地帯で、通りかかった私がマグナムなど携帯していようものなら、「前見てスルスル歩かんかい!」と威嚇射撃を一発、跳弾が運悪くふくらはぎをかすめるくらいはしたかもしれない。すまぬっ、正当防衛の流れ弾じゃっ!
小気味よく軽快なラップから始まった本記事だったが、まあ大体、言いたいことはラップに詰まっていましたね。
ノろうぜ最高! Oh! アゲろ攻防で yeah!
これで今年、紅白出場を目指します。