ライ麦畑で叫ばせて

日常/数理/旅や触れた作品の留書/思考の道草 などについて書いています。

感想20『数と記号のふしぎ』

 

36. 本丸諒『数と記号のふしぎ』(SBクリエイティブ

再読したい度:☆★★★★

 図書館シリーズ。数学で使われる数字や記号がまとめられた内容だ。知らない表現があったらどうしようとヒヤヒヤしていたが、全て目にしたことのあるものだったのでそこは安心した。以下、記号にまつわるトリビアや私自身の記号の使い方などを簡単にまとめたい。

 

・定数と変数

 \mathit {y} = \mathit a x^{2}+b x + c

 上式のように、変数を \mathit x, y, z、定数を \mathit a, b, cとすることが多い。フランスの哲学・数学者ルネ・デカルトが書物『幾何学』のなかでその使い分けをしたのが始まりと言われている。一説には、当時の印刷業者から「活字の \mathit xが余っているから使って欲しい」と頼まれたのが理由だとか。ちなみに、あらゆる書物において最も多く使われるアルファベットは \mathit eらしい。

 

 \mathrm {G.C.M}(Greatest Common Measure、最大公約数)と \mathrm {L.C.M}(Least Common Multiple、最小公倍数)

 G.C.MとL.C.Mの体現者として載っていたのが、13年ゼミと17年ゼミだ。彼らはそれぞれ13年ごと、17年ごとに大発生する。13と17はどちらも1とそれ自身しか約数をもたない「素数」である。例えば、3年ごとに現れる捕食者がいるとしよう。そして「12年ゼミ」がいたらどうだろう。大発生の時期が捕食者と毎回被るという悲惨な状況だ。しかも、12年ごとに現れる場合、その約数である2年、3年、4年、6年、12年の周期で現れる捕食者に影響を受けてしまう。現れる年を素数にしているのは、同じく周期的に現れる捕食者のリスクを数学的に回避するためなのだ。最後に、全く関係ない話になるが、各方面からの意見を統合してまとめるときに、「最大公約数的に」を多用する人がいるのだが、これは一般的な使い方なのだろうか。

 

 \mathrm {mod}(余り、剰余、モジュロ演算)

  \mathit X \, \mathrm {mod} \, \mathit Y = \mathit Pとは、 \mathit X \mathit Yで割った余りが \mathit Pであることを表す数式だ。例えば、  12 \, \mathrm {mod} \,  5 =  2とか、  24 \, \mathrm {mod} \,  8 =  0といった具合だ。銀行口座番号や書籍コードなど数字の羅列にはチェック数字というのがあって、数字に入力ミスがないかを確かめるのに、この \mathrm {mod}計算が用いられているらしい。私は、日毎にあるデータから一の位が1の日(毎月1日、11日、21日、31日)だけを抜き出したいときなどに使う。1990年1月1日から2010年12月31日までのデータがあったとして、その日付(19900101や20101231など8桁で表すことにする)に \mathrm {mod}計算をかける。日付 \mathit Dに対して、 \mathit D \, \mathrm {mod} \, 10 = 1となるデータを抜き出せばよいことになる。

 

 \mathrm {_n P_r}(順列)と \mathrm {_n C_r}(組み合わせ)

 高校数学でもこのあたりの確率計算は好きだったのを懐かしく思いながら読んだ。授業をしてくれた教師の教えから、 \mathrm {_n P_r}は使わずに \mathrm {_n C_r}だけで計算する癖がある。ちょっとこのあたりの計算だけ、昔の参考書を引っ張り出して、復習してみようかなあ。