ライ麦畑で叫ばせて

日常・回想・妄想・数学理科・社会・思考の道草 を軸に書きます。

ポートランドに魔物は散った

 

 先日、とある任務遂行のため、私はポートランドへと飛んだ。

 その任務とはぷれぜんてーしょんと呼ばれる魔物の撃破であった。えいりあんと映画で戦っていたアレである。そんなものと戦わねばならぬ私の素性? それはここで皆さんに明かすことはできない。

 ならば、ポートランドとはどこか。それくらいはお教えしておいたほうが良いだろう。さあ、グーグルマップを開いてみて欲しい。そこにはきっと皆さんの現在地が映し出されるはずだ。そこから最大限ズームアウトしてみよう。そうして見えるのが、あなたが今いる国、そして隣国たちだ。

 次に地図を好きに回してみてほしい。そう、地球儀で自由な旅をするかのごとく。そして、ここだ、と感じたところにズームインをする。そこがポートランドだ。ポートランドは皆さんの心の中にある。

 

 さて、出発の地、日本のある一地方の空港での戦い。この物語はそこからはじまる。

 ポートランドへの道すがら、私は韓国はインチョン国際空港、カナダはバンクーバー国際空港を経由することになっていた。

 その冒険の道が実はおおきな問題だった。

 ただ経由するだけとはいっても、カナダへと足を踏み入れるためには、"eTA"といわれる電子渡航認証が求められる。それを出発前に取得しておかなければならないらしいのだ。

 関門をあけるためのアイテムを拾いながら旅を進めるのは冒険の醍醐味であるが、プロローグでいきなり旅の終盤のカギを求められるとはまったく予想だにしていなかった。

 ただ経由するだけだろうに。かたいこといわんで欲しいなあ。

 あとニ十分以内に取得していただかないと、出国の手続きができません。そうなったときは、申し訳ございませんが──。

 私の身体中から嫌な汗が噴き出したことはいうまでもない。

 一瞬でとれる場合もあるが、一週間ほど申請に時間がかかる場合もある。なんてこったい! ゲートを開くキーを持たない不届き者には冒険の始まりすら用意されていないのか?

 だが、タイムリミットまで二分を残して、私は最初にして最大の難関をのりこえた。日ごろの行い、最後はこれですべてが決まる。

 

 心力が削られ切って到着したインチョン国際空港。そこにはもう既にぷれぜんてーしょんの魔の手がのびていた。

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 この大きさをみてほしい。そして逃げ惑う親子を(プライバシー保護のため顔は隠している)。

 この魔物はオスと対になって現れた。オスの口の周りは既に赤く染まっていた。

 これは──。不運にも手元にハンドガンとサバイバルナイフしかなかった私は、苦戦を強いられることとなった。

 だが、こいつらの弱点を無線(LINE)でささやく謎の男の助けもあって、無事この関門をサバイバルナイフのみで通過した。

 

 十数時間のフライトの末、eTAを華麗に使用して乗り込んだ次なる敵地、バンクーバー。そこに現れたのは、先程よりもさらに洗練された二体の魔物であった。

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 左の狼型モンスターは、韋駄天の如きスピードで私の脚にかみつき、体力を削る。

 一方のトナカイ型モンスターは、動きは鈍いが底なしの体力で、私のハンドガンの弾を食いつくした。

 私の旅もここで終わりか──。そう諦めかけたときだった。傷だらけの私の隣にふたりの男が現れた。

 手を貸すぜ! ぷれぜんてーしょんと戦うためにポートランドへむかう戦友たちだ。彼らの助けもあり、私のポートランドへの道は無事に切り開かれた。

 

 本拠地だけあって、ポートランドは荒れていた。

 まちのあちこちには食べ物や飲み物の容器、書物、衣服、高級そうなふかふかの枕などの残骸が散乱していた。

 私は息を呑んだ。

 決戦まではまだすこしある。わずかな時間も無駄にせず、私はまちを散策して敵の情報を集めた。

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 シンプルな外観のミュージアムに入って中盤、コイツが現れたとき「終わった」と私は思った。

 私の命もここまでか。

「──お。おおっ──。おっ」

 だが、彼は襲ってはこなかった。「お」の音しか発することができない彼は、他者との意思疎通ができず、常にすべてに怯えているらしかった。

 でも彼は平和を愛していた。

 私は彼と友人になり、この旅の目的と道中の戦いについてゆっくりと語った。

 帰り際、彼は私にロケットランチャーをくれた。彼の背後にある軍事力に、結局私は恐怖を覚えずにはいられなかった。

 

「彼」のたすけもあって、ぷれぜんてーしょんは容易に撃退できた。

 ロケットランチャーは強すぎる。結論はこれだけだ。

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 そして私は戦友と祝杯をあげた。ホップが二倍のIPA。馬鹿みたいに味が濃かった。

 普段のものよりもアルコール度数が高いビールに、解き放たれた心、店の良い雰囲気、そしてこれまでとこれからの戦いについての語らいに、私は普段よりもふわふわと酔っぱらったのを覚えている。