私の人生の「座右の銘」に突如躍り出た『直感を疑わない』(2022年の振り返り)への思いを語りたいと思う。
私は、選択するとか熟考するとか、何か人生の大きな決断と思われるようなことが得意ではない。だから、高い家電を選ぶとか、結婚するとか、家を買うとか、人生においてそれなりに大きなイベントと考えられることほど、悩まず即決する傾向にある。
「悩まず即決」という印象は他人から見た方が色濃いようだ。「決断力がある」などと形容されることもあるが、私自身はそうは思っていない。決断ではなくて、直感に従っているだけだからだ。
これはなにも、考えなしということではないのだ。直感というのは自分が生まれもった"ふるい"であり、考えるための明確な「判断基準」だと思っている。この考え方は大学時代の恩師の言葉によるところが大きい。それは次のような話だった。
私は、大学教員という職業柄、今の道を進もうと決断したのはいつ、どうやってですか、と尋ねられることがしばしばあります。ですが、私は人生の岐路に立たされるとか、重大な決断をするとか、そういった類のことを経験した覚えがありません。自分の本能というか、直感にしたがって、無数の選択肢から、今の道を含むいくつかにまで自然と選択肢が絞られていきました。そしてその中だったらこれかな、くらいの判断で、ここまで辿り着きました。決断というほど仰々しいものではなくて、流れに身を任せた結果です。
私はこの話がとても気に入っている。世の中にはなんでも大ごとにしたがる人がいるが(こういう人が職場にいると無駄なプレッシャーになって仕事が進まない)、この言葉は「肩の力を抜いて生きろ」とも言われているようで、少し気が楽になる。
家電も家も結婚相手も、何も無数の選択肢から無作為抽出で突然決めた訳ではない。直感で、自分で選びそうにないものは既にフィルタにかけられていたからだ。いくつか残った選択肢から最後の一つを選ぶとき「もしかしたらもっと良いもの(人)があるかもしれない」という疑念が強い人は慎重になるのだろうが、私はそこのリミッターがぶっ壊れている。いや、意図的にぶっ壊している。そしてそのぶっ壊された箇所が、直感という直列回路で繋がれている。
この座右の銘は、以前の検討(座右の銘候補を考える)で挙げた候補のほとんど全てを網羅しているように思える。
1. 真剣にやれよ! 仕事じゃねぇんだぞ!
遊びこそ人生では大切だし、大きな決断なんかいらない。直感で楽しむべし。逆に仕事はフィルタにかけるべし。こちらも直感でね。
2. ユーモアの源泉は喜びにあるのではなく、悲しみにある。天国にユーモアはない。
慎重になって何もしないより、直感で決めて失敗した方が大胆な悲しみだし、きっと笑える。
3. 継続は力なり
直感で決めたことには言い訳ができないし、そもそも自分の好きなものであることが多いので、おのずと継続できるもの。
4. 一片氷心
直感なんて一等澄んだ心でしょう。打算がない。
5. 友達は一人いれば良い
直感に従ってバッサバッサと交友関係を断っているので、必然的に友は少ない。だが、その仲は果てしなく深い。
6. 人見知りじゃない奴は面白くない
直感に頼る人は、人見知りだと思う。「お前ごときが決めるのに時間を使うな」と思われるのが怖い。ズケズケいける人は自己肯定感が強いので、自分の「決断」が遅れて他人を巻き込むことを恐らくなんとも思わない(偏見でしょうか)。
7. ロマンはどこだ
直感なんて完全にロマンだ。冒険に羅針盤なんていらないぜ!
8. これでいいのだ
これは「直感を疑わない」とワンセットだろう。自分に言い聞かせることで、気が楽になる。
9. 好きなようにやれ
直感で好きなようにやった結果がこれで、これからも胸を張ってそうします。
10. 私は信条より人間を好む。そして、信条のない人間をこの世でもっとも好む。
結局信条でなく感性なのだなと。私はインプットが左脳でアウトプットが右脳なのだそう。論理的インプットで信条などにこだわるくせに、行動は結局、感性。
11. 不言実行
あれこれいう前に行動しちまえと。直感がいっている。
12. 諸行無常
そんな流動的なものにも身をまかれられるのが、直感のいいところ。
13. ハクナマタタ
そう。どうにかなる。人間の本能(=直感)は案外優れている。
14. きたれ! やる気のない諸君!
飄々としているとか、熱さがないとか言われることがあるけれど、それは何事もあまり大ごとにしたくないからだ。やる気があるように見せないコツは、直感に従いあっさり決めることです。
以上、どうですか『直感を疑わない』の威力は。なんだっていけちゃいますよ。貴方の座右の銘にもおひとついかがでしょう。7億で売ります。