ライ麦畑で叫ばせて

日常/数理/旅や触れた作品の留書/思考の道草 などについて書いています。

宮崎・鹿児島出張記

 

 先日、宮崎県・鹿児島県に出張した。目的地までの道中、何箇所か立ち寄ったところがあったので、旅行記としてここに綴りたい。はじめに断っておくが、以下は私が現場で見聞きしたことを主体にまとめている。必ずしも情報の裏を取っていないことに注意して欲しい。気になった方は、自分で調べるなり現地に赴くなりして、真偽のほどを確かめていただければと思う。では、はじめよう。

 到着は宮崎空港だ。出迎えてくれたのは、きっと宮崎のゆるキャラだろう。名前は見当たらなかった。「みやざきどん」と仮名しておこう。

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「みやざきどん」のとなりには首の長いナッシーがいた。

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 こいつはもちろん実名ナッシーだが、「ぬくみずどん」と仮名しておく。というのも、このパネルの隣に温水洋一さんの等身大銅像と一緒に座れるベンチがあったのだ。他の人が座っていたので、残念ながら私は座れなかった。空港にあるくらいだ。温水さんは宮崎出身なのだろう。「ぬくみずどん」の出身地はよく知らない。

 さて、降り立ったのは宮崎だが、目的地は鹿児島の志布志だった。早速、海沿いを行きながらそちらへ向かうことにする。まず初めに寄ったのは、青島だ。

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 寄ったといってもご覧の通り、遠目から写真に収めただけだ。ちなみに写真を撮った私の背後にはセブンイレブンがある。休憩の際はお立ち寄りいただければと思う。

 昼飯時を少し過ぎたところで、偶然見つけた『居心』という店に入った。

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「チキン南蛮」の看板に誘われ入ったが、実は炭火焼屋らしかった。少々迷ったが、折角なので直感に従い宮崎名物チキン南蛮定食をいただいた。これが美味いこと美味いこと。揚げの衣は主張し過ぎず、柔らかくジューシーな肉を邪魔しない。タルタルソースも自家製だろうか。味は濃過ぎずさっぱりで、黙々と平らげてしまった。また行きたい! 行きたいどん!

 しばらく進んで立ち寄ったのは『鵜戸神社』。宮崎は神話の源流、神話のふるさとと言われているようだが、この鵜戸神社はその中でも何かすごいところらしい。仏教についてはある程度知識はあるが、神道には疎い私。恥ずかしながら知らなかった。

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 海に面した道を行き、立派な鳥居や門をいくつかくぐって階段を降りると、そこは洞窟。なかには、立派な本殿が。洞窟に本殿というのが珍しく、神秘性を増していた。

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 本殿の裏には乳房のかたちをした岩や、そこから湧き出て滴る水を混ぜて作った飴などがあった。子宝、安産、子供の成長なんかを祈願すると良いようだ。長めにお祈りさせていただいた。

 次に向かったのは、都井岬海洋学黒潮の変動云々を研究したことのある人なら、知らない人はいない(そんな人がどれだけいるかは不明だが)。なぜなら、九州近辺の黒潮の離接岸は、ここを基準に判断するからだ。

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 はい、ここが都井岬である。「黒潮の聖地」という偏った知識しか持ち合わせていなかった私は、正直仰天した。そこはなんと、「野生馬の聖地」でもあったのだ。江戸時代に始まった「馬を放し飼いにして生産する」という手法がいまでもほとんど変わらず続けられているそうで、ほぼ野生として育った馬たちが、芝生はもちろんアスファルトの道にも、平然と姿を表すのだ。

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 さすがは「野生馬の聖地」。「ターザンの森遊歩道」なるものもあった。驚くべきは、この看板の先に「道」が無かったことだ。ターザンは、道なき道を進むのだ。

 志布志についてまず見たのは、かの有名な『こちらは志布志市志布志志布志志布志市役所志布志支所です』という看板だ。これでもか! という「ココロザシ」のオンパレード。神々しくて写真に撮るのを忘れてしまった。夜は地方都市にありがちな「銀座通り」で食事。串焼きを肴に焼酎をいただいた。

 業務を終え、帰りは内陸を行った。すぐに宮崎に入り、立ち寄ったのは都城歴史資料館。

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 城のような建物だが、平成に建てられた復元だ。渋い展示がなかなか良くて、一時間ほどたっぷり見て回り、都城(みやこのじょう)に詳しくなった。歴史で驚いたのは、このあたりは宮崎県になったり、鹿児島県になったり、一時は『都城県』になったりしていたこと。「都城」の名に誇りを持っているのがよくわかった。昔行った、フランスのブルターニュ地方に通ずるもを感じた(ブルターニュの風は高く)。

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 最後は、なんだったかな。土日祝しか開放していない城に立ち寄った。平日だったので外観をみておしまい。『さくらまつり』と書かれた提灯が無数に飾られていた。確かに桜の木はあるのだが、暖かいというのにつぼみの膨らんでいる気配も一切なく、木の表面は真っ白。同行した先輩方も、「腐ってるんじゃないか? 死にかけなのでは?」と口々に言っていた。ソメイヨシノは大半がクローンで、寿命が60年程度と言われているので、全国の桜が間も無く一斉に枯れる可能性があるのだとか。この城から、死の伝染が始まるかも──?

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 そんな伝染から逃れるには、これを飲むと良いだろう。地元企業の飲み物『SUPER ゲンキ快』。桜木の根っこにもかけてくればよかったが、全部飲んでしまった。荒削りで大胆不敵な『デカビタC』といった感じのお味。

 宮崎空港に着き、「みやざきどん」と「ぬくみずどん」と温水さんに見送られながら帰路に着いた。なかなか味のある、渋めの旅行記となって満足だ。