ライ麦畑で叫ばせて

日常/数理/旅や触れた作品の留書/思考の道草 などについて書いています。

はじまりの99記事を振り返る

 

 100記事目である。ブログを始めたのが2016年11月だったから、約4年での区切りとなった。平均すると1ヶ月に2記事程度の投稿だ。統計的にみれば意外と悪くないペースのように思えるが、1文字も書かない月もあれば、反対にひと月に5つも6つも公開する月もあったので、感覚と実際のペースには正直少々の乖離がある。

「西暦が本のページ数だとすれば、元号というのは日本独自の『章』だ」とタモリ氏は言った。ブログの記事1つが1ページを成すとすれば、そのいくつかがまとまってある特徴をもつこともあるだろう。せっかくの区切りなので、この際気恥ずかしさは捨てて、ブログ『ライ麦畑で叫ばせて』の変遷を客観的に振り返ってみたい。

 

1.  模索期:まずは既存の型にはめてみる

 子どもは他人の真似をすることによって成長していく。まとまった文章を継続して書くことに初めて挑戦したブログの初期は、まさに既存の何かを真似る段階であった。

 この期間には、記事4「誰が最後に笑ったか 」や記事5「ブルターニュの風は高く」、記事14「国境は別れの顔」のように、TVアニメ『ルパン三世』のタイトルになぞらえて、その題に適当な内容を記述したものが多くみられる。タイトルという「お題」を与えられるとやはり書きやすかったのだろう。

 さらに、記事29「京都を盗め(1)」シリーズのように、旅の記録や近況などを、自分が何者かになりきってフィクション風に書き上げたものもいくつか存在する。これも、自分をありがちなキャラクターに当てはめてやることで文章を書きやすくした格好だ。

 記事9「時間軸の交錯」や記事19「彼は地球防衛隊」のように、いま振り返ると自分らしい書き方ができていたものも稀にあるが、ブログ開始からおよそ3分の1は、出来事を既存の型にはめて、書き方を模索していた。

 

2.  発見期:自分の得意な型をみつける

 やがて記事を書き慣れてくると、既存の型にはめて記すだけだったところから、書きたい主題と過去の記憶や経験とを持ち出して、両者の類似性や相違性を考察するようになってくる。中期はこの構成の記事の数がぐっと増えた。言ってしまえば「味を占めちまった」状態である。

 記事36「日曜は中華の香り」をはじめ、記事42「好きな気持ちはしょうがない」、記事71「間違いだらけの数式」なんかがこの形式だ。この期間に見つけた自分なりの定型は、今後も大事にしていきたい。

 自分の書き方がわかってきたと同時に、初期の文章の強引すぎた部分に気づくことになる。先に挙げた旅の記録シリーズなどは完結しないまま消滅している。それが実はずっと心に引っかかっている。

  

3.  挑戦期:自分の型から可能性を広げる

 後期になると、読んだ本の感想文(記事72「ひとこと感想集」)や俳句に関する知識のまとめ(記事88「俳句0「俳句との出会い」」)など、特定の目的をもったシリーズが姿を見せ始める。どの記事にどの本の感想が書いてあるかわからない、俳句の各事項を細分化し過ぎた等、既に反省点はいくつか挙げられるが、試みとしては悪くなかったと思う。

 あとは、友人の記事へのアンサーソングを書いてみたり(記事94「好きと言っていい」)、特定のフレーズのリフレインで過去を振り返ってみたり(記事98「麺をすするとき、幸福と不幸がいつも背中合わせでいる」)と、慣れてきた定型とは違った文章も出はじめた。模索期に多かった、卑屈な内容や分かりにくい展開などのいわゆる「失敗」は減ったが、今後もまだまだ挑戦の途中といえよう。

 

 

 ここまではブログの変遷を時系列で振り返ってみた。ここからは趣向を変えて、いくつかのランキングの1位を列挙してみたい。 

 

○ 多くの人に読まれた記事1位

daikio9o2.hatenablog.com

 ポケモンシリーズに登場するオーキド博士の名言「そりゃそうじゃ」について考察した記事74。なぜこの記事が一番読まれているのかは見当がついている。残念ながら、内容がとりわけ面白いからではない。私も調べてみて驚いたのだが、最近のアニメ主題歌『めざせポケモンマスター』の歌詞にはオーキド博士の「そりゃそうじゃ」が無いらしいのだ。それが気になって検索する人が、間違ってこの記事に遭遇するのだろう。

 

○ 思い入れのある記事1位

daikio9o2.hatenablog.com

 どの記事にも少なからず思い入れがあるのは当然だが、自分の得意な型に初めて気づいたというか、初めてしっくりくるものが書けたという意味で、こちらの記事36を選出した。ちなみに、今も好きな食べ物1位は炒飯であり、中華への愛はとどまるところをしらない。

 

○ きっかけをくれた人の記事1位

da-shinta.hatenablog.com

 この友人に誘われたのがきっかけでブログをはじめた。文章を書くことの面白さを教えてもらった。本当に感謝している。そんな彼の記事で一番気に入っているのがこの『合縁奇縁』だ。型が好みなのに加え、私と彼との関係について書かれた内容自体も気に入っている。そんな骨格だけでなく、全体が内包するひだまりのような懐かしさと慕わしさ、そしてそこはかとない寂しさもとても魅力的なのである。この記事がきっかけで、「合縁奇縁」という言葉も私の中で特別なものとなっている。

 

 

 以上でこれまでの99記事の振り返りを終えたい。区切りには到達したが、分析によってまだまだ「挑戦期」の途中であることもわかった。これからもひとつひとつの記事を大事に綴っていきたい。