ライ麦畑で叫ばせて

日常/数理/旅や触れた作品の留書/思考の道草 などについて書いています。

心の何処かでカニが食いたい

 

 みなさんは「マインドマップ」というものをご存知だろうか?

マインドマップ」とはイギリスの著述家トニー・ブザン氏が提唱した、自らの考えを絵で整理する表現手法である。この手法は、脳の思考を効率よく開放し、記憶力や創造性、相互理解を非常に高める効果がむにゃむにゃ。

 難しいことはよくわからないので、とにかく一言でまとめるとすると、「マインドマップ」とはなにやらすごい「発想術」らしい。私も喉から手が出るほどに発想力が欲しいぞ! 早速やってみよう。

 さあ、みなさんも紙とペンを用意してほしい。そして紙の真ん中に丸を描き、思考の出発点となる言葉を記そう。今回はそうだな、「マインドマップ」と書いてみよう。

 そして、その丸から棒線を引っ張って、「マインドマップ」から連想されるものを書いてみよう。

 

 マインドマップ→宗教学

 実のところ、「マインドマップ」は最近になって知ったのではない。

 もう何年前か、大学生の頃に一般教養科目の一つとして、私は「宗教学」の講義を履修していた。そして、その担当教員が「マインドマップは最強だ!」という布教活動をしていた。それで私は「マインドマップ」を知っている。

 ただ、肝心の講義内容をよく覚えていない。私の中には「マインドマップ」と、回心という単語しか残っていない。「宗教学」の丸から棒線を伸ばし続けるのは難しそうだ。

 

マインドマップ→メモリーツリー

マインドマップ」のいいところは、分岐が許されているところだ。行き詰まったら元の言葉に戻ってよいのだ。

マインドマップ」のようにして関連した単語を書き連ねて記憶する手法を「メモリーツリー」という。これは漫画ドラゴン桜で取り上げられたことで有名になったらしい。

 ドラゴン桜はドラマをちらっとみた記憶がある程度だ。同じ作者の漫画だとクロカンは全巻読んだ。クロカンは面白い。また読みたいものだ。

 

 メモリーツリー→木

「メモリーツリー」とはよく言ったものだ。根幹となる言葉から枝分かれして言葉が広がるさまは、さながらツリーではないか。ツリーなんてのは中学英語の初めのほうに出てくる単語だ。ツリーとはすなわち「木」。「メモリーツリー」といえば「木」だ。

 

木→くだもの

「木」になるものといったら「くだもの」だ。異論は認めない。

 

くだもの→みかん

 この季節、身近な「くだもの」といえば「みかん」だ。こたつでぬくぬくしながらの「みかん」。最高ではないか。そうはいっても、私の一族は雪国に起源をもちながらこたつとは一切縁がない。したがって、こたつで「みかん」の経験はない。

 

みかん→食べやすい

「みかん」ほど人間が「食べやすい」かたちで存在するものはない、というのを何処かで目にした。たしかに、ポケットに入るお手頃サイズで、手で簡単に皮がむけ、一口大に分けて食べられる。ああ、「食べやすい」。

 

食べやすい→バナナ

「みかん」ほど「食べやすい」ものなんてないだろうな、と友人に話を持ち掛けたら、いやいや、「バナナ」があるだろう、と即答された。「バナナ」だってポケットにねじ込めるし、さらには皮をむいたあと手を汚さずかじることができる。腹持ちも「バナナ」のほうがよさそうだ。

 私個人としては、味の「みかん」、利便性の「バナナ」だろうか。

 

バナナ→凍らせるとなんかすごい

「バナナ」は凍らせると何かの栄養価が高まる、というのを先の友人とテレビでみた。

 ただ凍らせるだけなのだ。凍らせるだけですべてが良くなる。すべてが驚くほどうまくいく。もういっそ、食べる必要すらない。「凍ったバナナ」はあればあるほど良いのだ。さあ、いますぐ冷凍庫を「バナナ」で満たそう。

 なんだか水素水的な怪しさが漂ってきた。次に進もう。

 

食べやすい→食べづらい

「凍らせるとなんかすごい」などというあやふやなことを書いてしまうと、連想は続くはずもない。少し戻って考えよう。この一進一退こそ「マインドマップ」の醍醐味だ(宗教学の講師はそんなことは言っていなかった。これは私なりの解釈であることに注意されたい)。

「食べやすい」といったら「食べづらい」だろう。相対することを考えてみる、という行為が思考の幅を広げるものだ。

 

食べづらい→カニ

カニ」は「食べづらい」。本当に「食べづらい」。

 ぶどうは皮をむくのも種を出すのも面倒だから丸ごと食うし、エビもまたむくのが億劫だから殻ごとバリバリ食うほどの怠惰な私だが、さすがに「カニ」はバリバリ食えない。

 ときたま旅館なんかで食事という素敵な機会があるときも、「カニ」が丸ごと出てくると、面倒なので食わない。でも、全く手をつけないのは気が引けるので、とりあえず手足をバラバラに解体して、食べた風を装う。ああ、「カニ」の味はとても好きなのに。

 

カニ→殻無しのカニ

 種なしの何やらとか、害虫に強い何やらとか、便利な食べ物が遺伝子をちょちょっといじって生み出される昨今だ。もうそろそろ「殻無しのカニ」なんてのが生まれてもいい頃ではないか?

 想像してみてほしい。筋肉を剥きだしにして海底を這う「殻無しのカニ」のすがたを。防御力をゼロにした代わりとして、法外に力が強くなるとか、韋駄天のごとく走るようになるとか、なんかすごいことになってしまうかもしれない。

 まあ、その辺もうまいことやってもらって、そのままかぶりつける奇跡の「カニ」が生まれたとしよう。いいじゃない! 素晴らしいじゃない! もう中の透明な筋みたいな硬いヤツくらいなら丸のみしてやろう。

 

マインドマップ」を使ってわかったのは、私は心の何処かで「カニ」が食いたかったということだ。殻無しで好都合な奇跡の「カニ」を。

 こうしてできた「マインドマップ」を下に載せておく。

 

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