ライ麦畑で叫ばせて

日常・数理・旅や触れた作品の留書・思考の道草 などについて書いています。

留書

修羅の道・北海 ──蒼天童の章──

札幌に降り立って(修羅の道・北海 ──漆黒烏の章──)2日目、漆黒の烏の猛攻から逃れてたどり着いたのは、蒼天にそびえ立つ鋭利な塔だった。それは「さっぽろテレビ塔」という建造物らしかった。塔の周りには花壇が並んでおり、塔は美しい花々に装飾されて堂…

ひとこと感想集 part 3

パート1(ひとこと感想集 )、パート2(ひとこと感想集 part 2 )と続けてきた「一言読書感想集」だが、パート1を書いていて気づいたのは「感想が『あとがき』に引っ張られる」ということである。あとがきについて共感あるいは批評的な感想をもち、それに…

ひとこと感想集 part 2

感想を残すことにしてから、「早く感想を書きたい!」という本末転倒な欲求により読書がよく進んでいる。あと、「感想を残さなければ!」という勝手な使命感により内容がよく頭に入ってくる。 一方、「この本も感想集に入れたいなー」という面倒なこだわりか…

修羅の道・北海 ──漆黒烏の章──

私は札幌に降り立った。 札幌に着いたらまず、頭上に注意しなければならない。それも、とりわけ木の上だ。宿敵はそこにひそんでいる。「まさか自分は大丈夫だろう」などというご都合主義的確率論にすがることはできない。油断すれば襲われる。それが修羅の道…

ひとこと感想集

これまで何冊の本を読んできたか知れない。これは数え切れないほど多くを読んできたと自慢しているのではなくて、ただ単に数えていなかったというだけのことである。 現在の自宅の本棚には百冊程度の文庫本が並んでいて、ときどきそれらの背表紙を眺めながら…

あゝ日本海

そのまちには確かに初めて訪れたのに、何処か懐かしい感じがした。 出張で訪れたのは鳥取県境港市。以前話題になった「米子鬼太郎空港」に降り立つと、地元の職員の方が出迎えてくれた。行先までは少し距離があるということで、車で迎えにきてくださったのだ…

我が手に使用許可を

七月某日、名古屋観光に行ってきた。 仕事終わりに新幹線にとび乗って、宿に着いたのは二十一時半頃であった。 荷物をおくが早いか、我々は手羽先を喰らいにいくことにした。私も同行人も空腹と暑さのため、道中はいささか殺気立っていた。 たどり着いた店で…

渇き

「…生きることが難しいなどということは何も自慢になどなりはしないのだ。わたしたちが生の内にあらゆる困難を見出す能力は、ある意味ではわたしたちの生を人並みに容易にするために役立っている能力なのだ。なぜといって、この能力がなかったら、わたしたち…

ポートランドに魔物は散った

先日、とある任務遂行のため、私はポートランドへと飛んだ。 その任務とはぷれぜんてーしょんと呼ばれる魔物の撃破であった。えいりあんと映画で戦っていたアレである。そんなものと戦わねばならぬ私の素性? それはここで皆さんに明かすことはできない。 な…

好きな気持ちはしょうがない

いつだったか、東京を訪れた際に抹茶ジェラートが有名なお茶屋さんに行ったことがあった。 そこではジェラートの抹茶の濃さを好きに選べて、一番濃いのを選ぶと、それはなんと世界一濃いらしいのだ。 同行者からこの店の話を聞いた瞬間、これはもうこの店に…

岩城に笑いの花が咲く

今年の夏、友人らと4人で秋田県は由利本荘市岩城を旅した。 そのとき、悪ふざけが過ぎて私は手の込んだ「旅のしおり」なるものを作成し、その一部として「でたらめ観光案内」を書いた。 今回は、それをそのままお読みいただいて、岩城の魅力を皆様に是非知…

京都を盗め(3)

daikio9o2.hatenablog.com daikio9o2.hatenablog.com 夕刻,我々はハンバーガーショップにてコーヒーをすすっていた。 京都国立博物館ではこれといった情報は得られなかった。手がかりとなりそうな仏像の展示スペースは完全改装中であり,係員の目を気にしな…

京都を盗め(2)

daikio9o2.hatenablog.com 目的には二十分程で到着した。 「ここが三十三間堂だな」 「ああ。実は一度,ここには別の仕事で来たことがある」 相棒のSは自転車を駐輪場に停めながら言った。 そうか,と相槌を打つだけにして深く詮索はしない。この世界の相棒…

京都を盗め(1)

平凡な泥棒と優秀な泥棒の一番の違いは何か? 手先の器用さ,機敏さ,強靭さ,賢さ──。確かにそれらも重要だろうが,実は全て不正解である。 平凡な泥棒と優秀な泥棒の決定的な差,それは「事前調査力」だ。 完璧な下調べ無くして完璧な計画は無く,すなわち…

閻魔が見てるそんな夜

2015年6月下旬,私は美しき街プラハにいた。 一週間ほどの滞在にもかかわらず私の用事は最終日だけであったので,それまでは緊張を押し殺すように,敢えて浮つき散らして,遊び散らかしていた。仕方なしに観光に狂っていた。本当である。緊張のし過ぎは…

国境は別れの顔

ついにこのときがきた。 このタイトルを使わせていただくときが。 ルパン三世TVシリーズのタイトルが極めて格好良くて,それらに鼓舞されて何度か拙文を書いてきた。 しかし,今回は順序が逆で,表題の「国境は別れの顔(TV第2シリーズ第58話)」が内容を…

ノスタルジーの行方

所用のため滞在中のハワイはホノルルにて筆をとる。 到着初日だが,もう日本が恋しい。私の準備不足が全ての原因ではあるが,率直にいうと,やはり言語の壁は大きいなと思ってしまう。皆さん必死に理解しようと努力してくれるので,余計に悲しく,そして申し…

ブルターニュの風は高く

2015年11月11日。 フランスはブルターニュ地方の港町,ブレストの海沿いに私は立っていた。 曇天になびく白と黒の旗と,それをじっと眺める老婆。 真実と妄想の英雄譚が,ここから始まった──。 昨年,フランスの研究機関に出張する機会があって,こ…