ライ麦畑で叫ばせて

日常/数理/旅や触れた作品の留書/思考の道草 などについて書いています。

日常

まだ階段は一段飛ばしで下らない

階段を一つ飛ばしで下りるのが怖くなった。おそらく高校生くらいまでは、難なく降りていたはずだ。少なくとも、中学時代には部活の階段トレーニングでやっていたから間違いない。 階段を駆け下りることをしなくなったのはいつからだろう。上りは、一段飛ばし…

肝油ドロップの匂い

コンディショナーを替えて数日、ずっと何かの匂いに似ているなと思っていたが、ようやくひらめいたものがあった。肝油ドロップの匂いだ。 乳白色の潰れた楕円体、さながら小さな碁石のようなそれは、表面には白い粉末か顆粒が付着していて、噛むとジャリっと…

『いつも何度でも』の包容力

ご存知『千と千尋の神隠し』の挿入歌である。作詞は覚和歌子氏、作曲と歌は木村弓氏だ。映画の公開(2001年)当時、私は小学生であった。中学生時代には、学級ごとの出し物か何かでこの歌を合唱した記憶がある。 先日、現在の木村弓氏が歌うこの曲を聴いて涙…

路傍の攻防

突然だが、まずはタイトルを声に出して読んでみて欲しい。 Repeat after me, "路傍の攻防". 「「「路傍の攻防」」」 うん、なんか良くない? 韻踏んでない? Yo! 路傍の攻防 そりゃ日々の風景 初動に翻弄 だって右の想定 粗相も愛嬌? No 無理な行程 無謀な…

三島くん

学生時代に帰省した折、両親や弟たちは出払って、特段することがなくなったので、居間で本を読んでいた。 しばらくすると祖母が「お茶でも飲むか」と声をかけてきた。首肯してありがたくいただくことにする。 祖母は茶をすする私をみて、満足げな笑みを浮か…

たとえばシャトルの落ちる速さで

最近、バドミントンに力が入っている。職場のバドミントンチームのリーダーがやる気で、週一回は仕事終わりに借りた体育館で打ち込んでいる。 部活でやっていた高校時代と比較して、当然ながら練習量は劇的に少なく、また体力も落ちたのだが、ひょっとしたら…

父の背中

数ヶ月前、父が退職した。定年を過ぎてから数年間も、同じ会社で勤め上げての退職だった。 少し前には「所長(当然父より年下)が部下や取引先との関係を疎かにしている。俺の言うことに耳を傾けようとしない」と、一方向から聞いただけでは状況を把握しかね…

名前のない男

洋上にて。船酔いをしない私だが、「実は、生まれてこのかた酔い続けているのかもしれない」というパラドックスを神妙な面をして口にすると、周りの人たちが失笑した。君は辛味を感じる能力とか、いろいろ感覚が壊れているからね。と先輩が皮肉った。おかし…

ニンテンドースイッチで蘇るスーパーファミコンの作品3選

まわりと話しをしてみると、どうやら私は平均よりゲームをする人間らしい。現在、自宅にあるハードウェアはニンテンドースイッチだけなのだが、うれしいのはこのハードでファミコンやスーパーファミコンのゲームが遊べることだ。購入したスイッチのソフトに…

誰もが誰かのExample

少し前の話になるが、肩と首が重くてどうしようもなくなり、整骨院に通っていた。治療してもらったのははじめてだったが、先生いわく、「なかなか見ないひどいコリ」だったらしい。 昨年夏の初診から、週一回のペースで治療してもらっていた。十五分程度のも…

シーサーゲームを考案した

シーサーゲームを考案した。ルールは単純、道具もいらない。いつの日か、じゃんけんにとって代わるんじゃないかと、内心ビクビクしている。今日はこの、期待のニューゲームを紹介したい。 ゲームは2人対戦だ。対戦相手と向かい合ったら、もう準備は完了。戦…

2020年の反省と2021年の目標 ──標的を見失うんじゃない!──

昨年の初め、一年の目標を立てた(有言不言実行、そして現状打破維持)。今日はその自己評価をし、それを踏まえて2021年の目標を立てたいと思う。 昨年の目標を見返してみておもったが、第一、目標を文章にして書くとわかりにくかった。目標はシンプルでわか…

すぐカッとしてしまうあなたへ ──パブロフ流 冷静術──

このご時世、公共の場でくしゃみをするのは躊躇われる。だから、出そうでどうしようもないとき、私はこっそりそれを止めている。やり方は簡単で、くしゃみが出そうになって口が開いた瞬間、鼻の下のくぼみのあたりをぐっと押すだけだ。押し方によっては往年…

コロナのせいにしてみるが、綺麗なものが怖いだけ

会社の最寄駅から地上へと出る階段に、輪ゴムの束が落ちていた。二十個くらいがひと塊となり、その周りには二、三ずつの輪っかがちらほらと散らばっている。この量の輪ゴムがこんなところに落ちている事態に些かの疑問を抱きつつも、新品同様のそれを汚すの…

feel my soul

泣きつかれてたんだ 問いかける場所もなく 迷いながら つまずいても 立ち止まれない 風呂場で何気なく口ずさんでいたのはYUIの楽曲『feel my soul』だった。 風呂場と便所というのは私にとって世間から切り離される特別な空間で、沈んでいるときは「はぁ、死…

キウイのTVCMで泣く

最近涙もろくてダメだ。狙ってくるものには斜に構えているから、お涙頂戴の映画や番組は我慢できる。しかし、こちらが身構えていないときにせめられると涙が出てしまう。 遭難した小学生が保護されたニュースで泣き、ゲームでボム兵が爆ぜて消えたことに泣き…

シソンヌ「密室ゲーム」の女はあらぬ吊橋を渡り、そして破壊する

今回はお笑いコンビ「シソンヌ」のネタ『密室ゲーム』について書きたいと思う。『密室ゲーム』は芸人同士がネタを交換するという番組の企画から生まれた。シソンヌ同様コントを得意とするコンビ「チョコレートプラネット」の持ちネタをアレンジしたものだ。 …

祖母への恋文

祖母が旅立ち、まもなく四十九日となる。実家から無事に納骨したとの連絡があった。 葬儀で祖母に送った別れの言葉。公にするか否か迷ったが、私の言葉をきいて「自分の家族のことも思い浮かんだ」と言ってくれた人がいたので、そうして家族を思う人が一人で…

有言不言実行、そして現状打破維持

不言実行という言葉が好きだ。これはかつて出会った教師の言葉によるところが大きく(「伝える」の上限 )、その師と同様に有言実行という言葉が嫌いでもある。「不言実行とは目標を口に出さずに実行することだ」という説明を見たことがあるが、それは少し違…

人ばかりの消えるまち

年末年始を実家で過ごした。食って、飲んで、寝る。それだけ数日も続けていると、最近の運動でせっかく引き締まってきた腹がたちまち膨らんでしまった。さすがに身体が心配になって、少し近所を散歩してみることにした。 小雪舞う中を一時間ほど歩くあいだに…

オレサマと豆の木

先日、友人と炉端焼きの店に行った。先の店でたらふく飲み食いした挙句、一度は改札の前まで行ったのに「やっぱもう一軒行くか」といってふらりと立ち寄ったのが、その店であった。 当然お腹は空いていなかったのだが、せっかくの炉端焼きだし何か一つは焼き…

暗雲と地雷

世の中に無駄なことなんてないんだよ、などという話になったとき、私は中学時代の一場面を思い出した。 私の中学校では定期試験の三週間ほど前になると、A3用紙の簡素な表が全員に配られた。国数英理社が横軸、日付が縦軸に並んだその表に、試験勉強の予定を…

透明な空

*当記事はこちらの話( おだやかな青 - ライ麦畑で叫ばせて)に目を通してから読んでいただけるとわかりやすいと思います。 「真っ直ぐな目で笑った 最初の出会いから君は変わらないね 透明な空によく似合う肌が まるで新しい明日へと誘うよう (GARNET CRO…

おだやかな青

一日に何度、青信号の点滅をみるだろう。 彼奴はあと少し、というところでチカチカとして、途端に切迫感を漂わせる。横断しようとすると決まって点滅し出すんだ、などと悲観的になってみるが、そう感じるのはある意味当然で、青のままの信号を意識しそれに感…

自覚の恩恵

出しなに掛ける言葉の典型に「気をつけていってらっしゃい」というのがある。一見定型文のように思われるこの言葉だが、実はこれには確かに効果があると耳にしたことがある。実際に注意力が増し、道中での危険回避率が上がるというのだ。 潜在意識に対して威…

春よ何処に

新天地はここ一週間、まだ四月が始まったばかりだというのにすっかり初夏の陽気だ。 職場と自宅を繋ぐ五十分、その半分は徒歩の道である。商店街をまっすぐ行って、角を曲がり住宅街に入る頃にはもう額に汗がにじむ。上着を脱いで鞄にしまう。緩慢な足取りの…

知らないバンド学入門

先日、ある有名三バンドの夢の競演たるコンサートに行った。 この三バンドのうち二バンドは大変好きで、曲はよく拝聴するしパフォーマンスもライブや映像でよく拝見している。 その一方で、残りの一バンドについては情報も熱意も全くない状態のまま会場入り…

さらば愛しきまち

もう一年と八ヶ月前のことになる。とある都市の中心部から少し離れたあるまちのあるアパートで、私は家族でない人間とのはじめての同居生活を開始した。全く喧嘩することなく、とは当然いかなかった。それでも同居人は、身勝手で怠け者の私にも愛想を尽かす…

「伝える」の上限

もうすぐ私は、長い間お世話になった多くの人たちに別れを告げることになる。新天地へと向かうにあたり、書類や荷物の整理をしながらこれまでを振り返る今日この頃である。 旅立ちに際しては、いくつかの場所でどうしても挨拶をしなければならない。どうせな…

一山また一山

行きずりにつと手に取りし古本に心躍らすような幸せ 本業が山場を迎えつつあり、自宅に帰ったら寝るだけの生活が続く中、読書の時間がこれまでと比較して増えた。交通手段を地下鉄に替えたからだった。 地下鉄を待つ間、乗車中、乗り継ぎの間、行き帰りのそ…