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ライ麦畑で叫ばせて

日常・回想・妄想・数学理科・社会・思考の道草 を軸に書きます。特に「妄想」は別のところでしっかりカタチにするのが目標です。

妄想

スミノジカン

男は今日も教室の隅に座る。全てはしがらみから解き放たれた1時間のために。 2時限目は古文の授業の直前,右手にパイプ椅子,左手に年季の入ったノートという馴染みの格好で,彼はするすると教室に現れた。 「あ,スミノセンセ,おはようございます」 彼を…

悲しみのまち

抜けるような空が眩しい。 早朝の陽射しが光る石畳の道沿いには,落ち着いたベージュの壁に鮮やかな赤い屋根の家々が整然と立ち並んでいた。まちには空缶も紙屑も吸殻も,ごみ箱すらも見当たらない。 まちの中央に位置する広場には,モーニングコートやドレ…

あの日と同じ風

マストになびく信号旗に憧れていた。 ずっと昔の話になる。私は海沿いの小さな町に生まれた。そろそろと細く弱々しい黒煙を上げる工場が幾つかと,そこではたらく者たちの住まい,あとは漁で生計を立てる世帯がちらほらとあるだけの町だ。 生まれ故郷の記憶…

ブルターニュの風は高く

2015年11月11日。 フランスはブルターニュ地方の港町,ブレストの海沿いに私は立っていた。 曇天になびく白と黒の旗と,それをじっと眺める老婆。 真実と妄想の英雄譚が,ここから始まった──。 昨年,フランスの研究機関に出張する機会があって,こ…

習字セットの筆は今

彼らはトーク中に「僕らの目標は結成序盤で達成されてしまって,そこから今までは惰性でやってます」的なことを語ってくれた。 惰性で国民的アーティストになれるのだから,その才能には嫉妬せざるを得ない。 先日,ある有名バンドグループのライブに行って…

巡る巡るは海のよう

負の要素が人を駆動する力というのは甚大だ。 成功や幸福なんかのポジティブな事象より,失敗,恐怖,失望などに突き動かされることの方が(少なくとも私は)多い。 私にも,スポーツというものに打ち込み,仲間たちと更なる高みを目指して血と汗と涙を流す…