ライ麦畑で叫ばせて

日常・回想・妄想・数学理科・社会・思考の道草 を軸に書きます。

成金のゆび、貧乏人のゆび

みなさんご存知のように、海水は水と塩により構成されている。そして、海水の特性を決める最も重要な量に、水温と塩分がある。ここで、塩分とは水に含まれる塩の割合、すなわち塩濃度を意味する。「分」が「濃度」の意味をもつので、本来、「塩分濃度」とい…

おだやかな青

一日に何度、青信号の点滅をみるだろう。 彼奴はあと少し、というところでチカチカとして、途端に切迫感を漂わせる。横断しようとすると決まって点滅し出すんだ、などと悲観的になってみるが、そう感じるのはある意味当然で、青のままの信号を意識しそれに感…

新説 風が吹くと

風が吹く 風が吹くと木の葉が散る 木の葉が散ると落ち葉が増える 落ち葉が増えると可燃ゴミが増える 可燃ゴミが増えるとゴミ収集に時間がかかる ゴミ収集に時間がかかるとゴミ収集車の来るのが遅れる ゴミ収集車の来るのが遅れると朝のゴミ出しに余裕ができ…

矛盾を唄って越えろ

この世界には種々多様な歌がある。 ハッピーな歌や暗い歌、荒々しい歌の話は以前した(幸福な言の葉 - ライ麦畑で叫ばせて)。今回は、聴いていると何故か耳に残る、私にとってはそんなカテゴリにある歌たちを取り上げてみたい。 「マイナス100度の太陽みた…

追憶の大勝負

"What's your favorite ○○? " この英文、中学校を卒業した方なら必ず一度は耳にしているはずだ。 「あなたのお気に入りの○○はなんですか?」 ○○には food とか sport とかを入れてきたのではないだろうか。 そして "OK, let's stand up!" と起立を強制されて…

自覚の恩恵

出しなに掛ける言葉の典型に「気をつけていってらっしゃい」というのがある。一見定型文のように思われるこの言葉だが、実はこれには確かに効果があると耳にしたことがある。実際に注意力が増し、道中での危険回避率が上がるというのだ。 潜在意識に対して威…

渇き

「…生きることが難しいなどということは何も自慢になどなりはしないのだ。わたしたちが生の内にあらゆる困難を見出す能力は、ある意味ではわたしたちの生を人並みに容易にするために役立っている能力なのだ。なぜといって、この能力がなかったら、わたしたち…

春よ何処に

新天地はここ一週間、まだ四月が始まったばかりだというのにすっかり初夏の陽気だ。 職場と自宅を繋ぐ五十分、その半分は徒歩の道である。商店街をまっすぐ行って、角を曲がり住宅街に入る頃にはもう額に汗がにじむ。上着を脱いで鞄にしまう。緩慢な足取りの…

知らないバンド学入門

先日、ある有名三バンドの夢の競演たるコンサートに行った。 この三バンドのうち二バンドは大変好きで、曲はよく拝聴するしパフォーマンスもライブや映像でよく拝見している。 その一方で、残りの一バンドについては情報も熱意も全くない状態のまま会場入り…

さらば愛しきまち

もう一年と八ヶ月前のことになる。とある都市の中心部から少し離れたあるまちのあるアパートで、私は家族でない人間とのはじめての同居生活を開始した。全く喧嘩することなく、とは当然いかなかった。それでも同居人は、身勝手で怠け者の私にも愛想を尽かす…

「伝える」の上限

もうすぐ私は、長い間お世話になった多くの人たちに別れを告げることになる。新天地へと向かうにあたり、書類や荷物の整理をしながらこれまでを振り返る今日この頃である。 旅立ちに際しては、いくつかの場所でどうしても挨拶をしなければならない。どうせな…

変わりゆくときの中で

東に向かって時速60 kmではしる車の中からみると、道端でぼんやり突っ立っている老人は時速60 kmでこちらに近づいてくるようにみえる。そして100 m先を時速60 kmで東にむかうバイクには、車はいつまで経っても追いつくことはできない。 この相対速度的な考え…

ポートランドに魔物は散った

先日、とある任務遂行のため、私はポートランドへと飛んだ。 その任務とはぷれぜんてーしょんと呼ばれる魔物の撃破であった。えいりあんと映画で戦っていたアレである。そんなものと戦わねばならぬ私の素性? それはここで皆さんに明かすことはできない。 な…

名は体を表すか

本にしろ、漫画にしろ、映画にしろ、私はタイトルを覚えるのが好きである。 昔は某からだが縮んでしまった名探偵が活躍する映画のタイトルは公開年順に覚えていたし、某国民的海賊漫画の単行本のタイトルは今でも六十五巻くらいまでは暗唱できる。某大泥棒三…

黄昏の谷の底

何故、勉強しなければいけないのか。 我々は決められた年齢で決められた期間、決められた知識を習い、学ばなければならない。その中には、先の人生で使うとは思えないような知識や考え方も数多くあるといえる。 そこで、一度は疑問を抱いたことがあるに違い…

一山また一山

行きずりにつと手に取りし古本に心躍らすような幸せ 本業が山場を迎えつつあり、自宅に帰ったら寝るだけの生活が続く中、読書の時間がこれまでと比較して増えた。交通手段を地下鉄に替えたからだった。 地下鉄を待つ間、乗車中、乗り継ぎの間、行き帰りのそ…

君は私を盗人となじるだろうか

年末年始を故郷で過ごし、四日ぶりに自宅に戻ると冷凍庫が壊れていた。 冷凍室の床や天井、壁についた霜を取ってやって様子をみたが、どうも駄目らしかった。購入して七、八年になるようだから、そろそろ寿命なのかもしれない。 年末に家に泊まった友人が厚…

気が付けば全力で朝

「物語」は美しく整然としていなければならない。 その一方で、望むと望まざるとに関わらず、その創出の場、あるいは起源たる「現実」は一般に至極混沌としている。 七番目の曲が終わるとき、私は目的の建物の前にいた。 七番目の曲が終わるとき - ライ麦畑…

七番目の曲が終わるとき

痛いほどの寒さに身が縮む。シルバーホワイトの空には雪がちらついていた。縮んだ体は何か悪いことをして、咎められるのを恐れているようで、外界から自分を切り離そうと、右手の親指は自ずと二つ並んだ丸いボタンの一つを素早く二度押していた。イヤフォン…

好きな気持ちはしょうがない

いつだったか、東京を訪れた際に抹茶ジェラートが有名なお茶屋さんに行ったことがあった。 そこではジェラートの抹茶の濃さを好きに選べて、一番濃いのを選ぶと、それはなんと世界一濃いらしいのだ。 同行者からこの店の話を聞いた瞬間、これはもうこの店に…

幸福な言の葉

現状に満足しているひとは発言の必要がない、というようなことをどこかで見かけた。平穏な幸福。全くその通りかもしれない。 私がうだうだと此処に駄文を書き連ねるのもひとつの表現であり、それはおおよそ不幸や不満、それに伴う哀愁などによって駆動される…

うねりの中

モウロが自らの力に気づいたのは、もうずっと昔のことだ。 荒野にぽつんと立つ枯れ木の上で、少し遠くの家々を眺めているときだった。 ほうら、またあの二人が腕比べをはじめたぞ。あそこ、あの窓の大きな家の前だ。今日はどうやら剣らしい。弓はあのノッポ…

岩城に笑いの花が咲く

今年の夏、友人らと4人で秋田県は由利本荘市岩城を旅した。 そのとき、悪ふざけが過ぎて私は手の込んだ「旅のしおり」なるものを作成し、その一部として「でたらめ観光案内」を書いた。 今回は、それをそのままお読みいただいて、岩城の魅力を皆様に是非知…

扇動の聖女

よく働いた5日間、その中のある12分間のお話である。 年に2度開催される我々コミュニティの大きな会合が、今年の秋は12年ぶりに私の住む都市で行われた。 そして我々は、この会合を運営する立場となった。 私なんかは下っ端なので、荷物を運んで会場設…

さよなら備忘録

久々の投稿である。 最近は他にやらなければならないことが多くて、書きたいことはあるのにそれについてあまり考えられない、というなんとも欲求不満な生活を送っている。 一か月記事を投稿しないと、ブログ管理側から通知が来る。 「そろそろ次の記事を投稿…

日曜は中華の香り

季節の変わり目、寒暖差激しい今日この頃。 友人が風邪をひいたらしい。 風邪には豚や鶏よりも牛肉が良いらしいよと教えたら、牛丼大盛り豚汁セットを食っていた。 それだけ食えればたぶん大丈夫。それに、おまけで豚まで摂取している。 最近は馬鹿になって…

何度でも、君の歌声

そのフェスは”ジャズフェス”というのに案外ジャズ奏者のパフォーマンスは多くない。 数年前に友人Sに連れられて行ったのが最初だった。 当時はまだジャズにそれほど関心がなく、ただただ「なんだかカッコいいなぁ」と思ったり、ひたすら「ビールうめえなぁ…

近づく窓から見えるのは

久々に青空の広がる晩夏のある午後。 今日はいい天気ですね。地上5階のビルの廊下を一緒に歩く後輩が話し掛けてきた。 そうな、最近ずっと雨だったもんな。淡々と、だが心から彼の言葉に頷く。 あのビルは何なんですかね? 廊下の一番向こう側、遠くの窓か…

不完全の美学

*再び旅行記はひとやすみ 高校時代,私はバドミントン部に所属していた。 顧問であった男性数学教師はバドミントン未経験者で,練習にもほとんど来ず,公式戦のオーダーなんかも「キャプテンに任せるわ」といったふうで,顧問のわりにあまり関わりはなかっ…

京都を盗め(3)

daikio9o2.hatenablog.com daikio9o2.hatenablog.com 夕刻,我々はハンバーガーショップにてコーヒーをすすっていた。 京都国立博物館ではこれといった情報は得られなかった。手がかりとなりそうな仏像の展示スペースは完全改装中であり,係員の目を気にしな…